海外マンガ通信『Cambodia Chatter Boy 第6回 プノンペン漫画文化普及イベント報告!』
漫画の本というもの、あるいは漫画家という職業について、まだまだ知られていないここカンボジア、地道なオリジナル漫画出版や漫画家養成セミナーも大事ですが、社会的に認知してもらうためには人目を惹くイベントも大事だと感じてます。 そこで、2月13日(土)14日(日)の2日間、カンボジアの首都プノンペン市にある「KATANASHI」レストランさんとのコラボイベントを行いました。その名も「五感で体感する日本の二大文化★日本料理&漫画フュージョンイベント」。場所も願ってもない一等地、首都プノンペン市の中心少し南、毛沢東通りという大きな通りの信号交差点です。私Mashiroが漫画を描いて解説するのを見聞きしながら日本料理を味わっていただき、希望者にはGペンやスクリーントーンを実際に使って漫画を描いていただくという企画です。料理と漫画、合わせてしっかり五感を盛り込むことができました(笑)。
今プノンペンで人気の日本食レストランKATANASHI=型無さん
このイベントに先立っては、KATANASHIさんのご厚意でこれまで出版してきたMashiroの漫画「リングのうさぎ」第一巻から第五巻までの表紙を2メートルまで引き延ばした巨大バナーをお店の前に飾らせていただきました。何でもありのカンボジアならでは、こんな派手派手なこともやらせていただきましたが、裏から屋根によじ登ってバナーを取り付けるのはちょっと大変で、高所恐怖症気味の私はこの後3日くらい悪夢にうなされましたが、その甲斐あって、見た人たちから多くの反響をいただいてます。突如現れたこの巨大バナー群でプノンペンの皆さんのを少なからずびっくりさせることができたと思ってます。
漫画のバナーを張らせていただきました車やバイクを停めて多くの方が見てくれました
KATANASHIさんではこの2日間限定で特別ランチメニューを格安でご提供いただきました。宣伝には上記のバナーの他、フェイスブックやブログを使っての告知やチラシの配布なども行いました。
イベントのチラシ、バナーとして入り口にも張りました
そしてイベント初日、2月13日、ある意味カンボジア初の画期的なイベントでもあるので、また、土日のランチはいつもガラガラとKATANASHIレストランさんからも聞いていたので、果たして人が集まるかどうか心配でしたが、最初に来てくれたのが高校生くらいの女の子が一人・・・あら、こんな女の子が一人だけ?と、よく見るとお店の前に停まってる車の運転席、どうやらお父さんらしい方がおられます。「漫画描くの大好きなんで、お父さんにお願いして送ってきてもらいました」と嬉しいことを言ってもらえました。そうこうするうち、入り口から心配そうに中の様子を見ていたお父さんも入ってきてくださいました。
熱心に漫画製作に見入ってくれた女の子、カツカレーセット完食でした
最初は外から心配そうに覗いていたお父さんも参加!
お父さんと話したところ、「いや~実は娘がいつも部屋にこもって漫画ばっかり描いてて、何が面白いんだかわからなくて心配してたんだけど、確かに面白いね、それに色々深い意味もあるんだね」と、これまた嬉しい言葉をいただけました。
お年頃の娘さんとの距離がこれでグッと縮まった(?)
この親子に励まされて私も一生懸命に漫画を描きながら説明をカンボジア語と、カンボジア語で難しいところはちょっと英語や日本語でズルしながら(笑)させていただいているうちに段々とお客さんも増えてきて、満席とまではいきませんでしたが、まずまずの成功と言ってよいかという感じです。
レトロなKATANASHIさんの中に漫画製作の説明が響きます
手描きの作業とデジタル描画と両方、CCDカメラとプロジェクターも使って投影し、ヘッドセットのマイクとスピーカーを使って解説をさせていただきました。
こうして書いている様子をこんな風に投影して見ていただきました
ご希望者にはGペン、スクリーントーンを実際に使ってもらったり、ペンタブレットを使ったデジタル描画も体験してもらいました。
ペンタブレットを使ってデジタル漫画製作にも挑戦!嬉しそう!
ご参加いただいた人たちが体験したことも大事ですが、1週間にわたり漫画のバナーを一等地に掲示させていただいて、プノンペン在住の方たちに漫画を改めて印象付けられたことも大きな成果でした。そういう意味でKATANASHIレストランさんに感謝です。今後も漫画の普及にご理解いただけるお店や企業さんとの協力でこうしたイベントを行い、カンボジアの人たちに漫画の魅力をを伝えて参ります。 ニッジェイアンチュン(カンボジア語で「ところで・・・」) これまで漫画家養成セミナーでは多くの漫画が大好きな若者たちと接してきてましたが、今回のイベントで初めて漫画大好き少女のお父さんともお話しする得難い機会がありました。やはり今の若者たちのお父さんお母さんの青少年時代は虐殺や内戦の時代でもあったために漫画というもに触れる機会がなかったので、なかなか漫画の魅力をご理解いただくのは難しいということですね。自分の娘がやることには必要以上に神経質になってしまうのが親心というものでしょうが、こうして公共の場で堂々とイベントとしてやっているのを見ていただいて、これも一つの趣味であり、文化であり、職業であると、今回お話しできたこのお父さんにはご理解していただけたことと感じてます。 カンボジアの今の若者のお父さんお母さんたち向けに、漫画を描いたり読んだりすることで子供たちが得られることに焦点を当てた「親子で参加する漫画セミナー」というのもやる意義があるかもしれないですね、真面目に考えてみたいと思います。
【Mashiro】 少年期の夢はボクシングの世界チャンピオン、青年期の夢は漫画家で某少年漫画誌新人漫画賞の最終選考作品に名前を連ねていたが、就職と共に夢は自然消滅。その後サラリーマン、海外援助団体勤務を経て現在はカンボジアで会社経営しながらカンボジア初のストーリー漫画を制作・出版・販売、また、漫画家養成セミナーを開催してカンボジア人漫画家の育成を行いながら、昔の夢2つを同時に実現中。