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漫画家・巻来功士の心ぴく映画コラム-『エージェント・ウルトラ』、『ゾンビスクール!』

「功士的、心ぴく(心臓がぴくぴくするほど感動した?)映画コラム、番外編、第46回」は、コメディー映画2本立て『エージェント・ウルトラ』、『ゾンビスクール』です。

『エージェント・ウルトラ』 ジェシー・アイゼンバーグ(「ソーシャル・ネットワーク」「ピザ・ボーイ」他、出演作はどれも面白い!)主演のコンビニ店員が実は凄腕CIAエージェントだったという、アクションコメディーというジャンルに属する映画。なんと脚本が、敬愛するジョン・ランディス監督(「アニマルハウス」「ブルース・ブラザース」「狼男アメリカン」「眠れぬ夜の為に」他、傑作だらけ)の息子マックス・ランディス。天才監督の子供は意外と凡才などと言われる事もありますが、この息子はちがった。父親の才能を確実に受け継いでいる才人でした。 最初にあげた伏線を、ラストまで引っ張り、爽快に物語を終わらせる演出は見事です。... この見事さを観に、2回も映画館に足を運びました。

ありえないと思われるストーリーは、驚くなかれ、実話をベースにしたもの。CIAが冷戦時代に行った、薬で兵士を殺人マシーンに作り上げようとして失敗したという嘘のような本当の話(マット・デイモンの「ボーンシリーズ」もこの実話を基に作られている)。 ある意味、手垢のついたストーリーですが、監督、俳優、脚本、撮影のテンポがうまくかみ合って、痛快な笑いとアクションを展開する事に成功しています。物語の中、けっして強くは見えないジェシー・アイゼンバーグと恋人役の美女クリスティン・スチュワートのかけ合いは、微笑ましくて(羨ましくて)、中2病の私の胸は高鳴りました。そして、やはり、アクションシーンの切れの良さ、名作「キングスマン」のレベルには(製作費も少なく)到達してはいないと思いますが、そのエピソードの一部分を拡大させた向きのあるストーリーは、やはり、「キングスマン」のエピソードの1つ1つが超絶に面白いので、同じように才人達が作り上げたこの映画も超面白く出来ているのは当然の事でしょう。続編が是非見たい。そう思わせてくれるスパイ・バイオレンス・コメディー映画です。心ぴく度、おめでたく末広がりの88点、いやもっと上かも。「キングスマン」が好きな人には特にお薦めの超面白作品です。

『ゾンビスクール!』 ホビット役者(?)イライジャ・ウッド制作主演のゾンビ・コメディー映画。 何でもありのゾンビ映画に、これまでになかった言語道断なストーリー(褒め言葉)が展開し、ついつい顔が綻びました(?)。 なんと今回ゾンビ化するのは、思春期までのお子様たち、しかし当然目の肥えたゾンビファンの納得が得られなければ、ヒットはしません。だから、描写はもちろん過激です。小学生ゾンビが、間抜けなボンクラ教師達を食って食って食いまくります。主人公イライジャは作家志望の非常勤教師、着任早々喰われそうになります。しかし、ボンクラでもそこは大人、小学生ゾンビ達を逃げながらも返り討ちにします。画面血だらけ(この赤い血は、喰われた大人のもので、小学生ゾンビの血はなぜか黒い)。しかしこの血に関するうんちくも語られていて妙に納得させられてしまいました。一応、なぜ思春期までの人間がゾンビ化するのか説明されています。つまりルールです。これがゾンビ映画というジャンル映画では重要な事。何でもあり(一匹だけ思考力があるゾンビがいたり、走れないと思ったら突然走ったり、他)のゾンビ物はまったくノレマセン。そのルールさえしっかり描かれていれば、あとは思い切りやりたい放題演出炸裂でも大丈夫。その証拠に、トンでも描写満載なのにこの映画はとても面白い。ラストの「~マ○ー、○ァッ○―」のセリフに大笑いしました。 こんな映画、公序良俗に反するから嫌いと思う立派な人やゾンビ映画が苦手な人以外の人、特に大笑いしたい人にお薦めのホラーコメディー映画です。 心ぴく度83点、いやもっと上かも的ゾンビ映画の佳作です。

エージェント・ウルトラ

監督:ニマ・ヌリザデ 脚本:マックス・ランディス 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート ビル・プルマン、トファー・グレイス、ウォルトン・ゴギンズ、コニ―・ブリットン 原題:American Ultra 2015年/アメリカ映画/上映時間96分/字幕翻訳:稲田 嵯裕里 配給:KADOKAWA Photo Credit: Alan Markfield/© 2015 American Ultra, LLC. All Rights Reserved. 2016年1月23日(金)全国ロードショー 公式サイト :agent-ultra.jp

ゾンビスクール! 監督:ジョナサン・ミロ、カリー・マーニオン 脚本:リー・ワネル、イアン・ブレナン 製作総指揮:イアン・ブレナン、リー・ワネル、ヘイデン・クリステンセン 製作:イライジャ・ウッド、スティーヴン・シュナイダー 出演:イライジャ・ウッド、アリソン・ピル、リー・ワネル 2014/アメリカ/カラー/シネスコ/88分/DCP/英語/原題:Cooties/R-15 提供・配給・宣伝:プレシディオ 協力:松竹

2月20日(土)シネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開 (c)2014 Cooties, LLC All Rights Reserved 公式サイト:http://zombieschool.jp/

◆巻来功士先生の自伝的漫画『連載終了!』(イースト・プレス刊)好評発売中!あの頃のジャンプでの7転8倒を描写!映画愛にもあふれた漫画です。ぜひご一読を!

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