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海外マンガ通信『Cambodia Chatter Boy 第5回 カンボジアのお金"リエル"にまつわるリアルなお話し』

日本からの企業進出が加速しているカンボジアですが、銀行業分野での進出はこれまで様子見の感があり、中国や韓国に比べて遅れてましたが、このところ色々と進展が出てきております。今回はお金にまつわる事を書いてみたいと思います。

日本のメガバンクがついにカンボジア進出です

  日本のメガバンクがついにカンボジア進出です

まずは簡単に、その日本の銀行等の最近の金融業への進出について触れてみます。 カンボジアでは商業銀行が50行くらいあり、その下に小規模な融資を主に個人や個人事業主などに行う、日本でいうと信用金庫と消費者金融を合わせたようなマイクロファイナンスというのが、これまた50くらいあります。その内の大手、ハタカッセコーというマイクロファイナンスを三菱東京UFJ銀行が100%株を持つタイのアユタヤ銀行を使って買収することが今年に入って決まりました。 三井住友銀行は、カンボジアの最大の銀行ACLEDA=エシリダ銀行(日本の人はよく「アクレダ」と呼びますが、カンボジア語標記を見ると「エシリダ」です)の筆頭株主になっていますし、パチンコのマルハンが出資するマルハンジャパンバンクは、これも大手マイクロファイナンスのサタパナを買収しています。 また、イオングループではショッピングセンターの進出の他、マイクロファイナンス事業を行い、今年からクレジットカード事業も始めるところです。出光・クレデイセゾンも、イデミツセゾン・マイクロファイナンスを先月設立したところで、その他の日系マイクロファイナンスも増えてきており、これにより日本からの投資も益々増えることが期待されます。

 カンボジアの日銀にあたるカンボジア中央銀行

さて、そのカンボジアのお金ですが、正式な通貨はリエル(Riel)と言います。でも、途上国の多くがそうであるように、日常の買い物や取引ではまだまだアメリカドルがリエルよりも頻繁に使われています。以前は結構激しく変動もしましたが、ここ数年の換算レートは、毎日多少の上下はあるものの、だいたい1ドル=4,000リエルくらいで安定しています。日本円で言うと1円=35リエルくらいといったとこですね。 買い物をするときにも、価格の高いものはほとんどドル建てですが、価格の安いものはリエル建てになっているものも多く、そういう場合にはドルで払うとお店の方で割高に計算される傾向があるため、市場での日常の買い物をする際には、市場の周りに沢山ある両替所でドルをリエルに先に交換して、リエルで払うようにすると少し得することにもなります。あと、〇〇.〇〇ドル、みたいに、1ドル以下、つまり「セント」の端数が出た場合には、リエルに換算して支払ったり受け取ったりします。

カンボジアの両替屋さんは特に市場の近所にたくさんあります

 また、タイ国境に近い方ではドルよりもタイバーツが主流になっているところもあります。島国の日本と違って、こういう陸続きの国の場合には隣の発展している国の通貨が重宝されるということはよくあることです。 カンボジア・リエルの金種は現在紙幣のみで硬貨というものがなく、最小額面100リエル(約3円)、最高額面100,000リエル(約3,000円)となってます。硬貨は一時期、100,200,500リエルの3種類が造られたのですが、金属としての価値が額面よりも高かったために、流通開始後あっという間になくなるという珍事が起きました。笑い話のようですが、わずか20年ほど前の、まさに「本当にあった愉快な話」です。

 カンボジアの通貨リエル、100、500、1000と最高額面の100,000リエル札

また、私がもうひとつよく覚えている珍事、これも同じく20年ほど前のこと、カンボジア・リエルが国際通貨に対して不安定な時期には、電気代や水道代などの国の公共料金がドルで請求されてきたこともありました。なんとも、政府が自分の国の通貨を信用しないというのもすごい話ですが、初の総選挙後で少なからず混乱していた時期でもあるので、いたしかたないことかもしれません。逆にそこから20年でよくここまで発展したものだと言うべきなんでしょうか。

 先月の電気代請求、良かった、ちゃんとリエルで請求来てる

そして、ここ数年の経済成長率が毎年6~7%、日本の高度経済成長時代にも匹敵する伸びが見られる国なので、金融業が盛んとなっており、貸出金利も受取金利もかなり高くなってます。取り扱い通貨は、これもドルが主流で、銀行やマイクロファイナンスへお金を預けると、普通預金の受取利子ははだいたい年率0.5~1%くらい、定期預金にすると、4~7%くらい、カンボジア・リエル建てだと9%くらいになるマイクロファイナンスもあります。ただし、非居住者の口座開設は銀行ごとに制限もあり、利子にかかる税金も高めになっていて、そのまま全部はもらえませんのでご注意ください。

もう一つ、お金について述べる際に忘れてはいけないことがあります。 我々日本人は日本で生活するうちに、お金を大事に扱う習慣が子供のころから自然と身についています。「1円を笑うものは1円に泣く」と学び、母親からもよく「お金というのはお金を大事に扱う人のところに集まってくるもの」と教えられました。お金のことに限らずですが、カンボジアでは内戦が長かったこともあり、そうした道徳教育が遅れています。丸めたり、投げたり、落書きしたりと、お金は日夜虐待されて、多くの紙幣が汚れて、破れて、ボロボロになっているのがカンボジアです。カンボジアの紙幣に付着しているバクテリアの量は中国に次いでひどいものだったという調査結果も見たことがあります。お金の価値はその所有者に属しますが、紙幣や硬貨はみんなで使う公共のものですので、次に使う人のことも考えて大事に使うべきものです。 私が漫画普及と掛け合わせて行っているもう一つの活動がこうした「道徳教育」で、この「お金を大事に扱う」ということについても、漫画のキャラクターを使ってこんなポスターを作成して配布・掲示をしてきております。

漫画ポスターによるカンボジアでの道徳教育「お金や公共のものを大事にしよう」

カンボジアの人たちがお金についても、その他の公共の物についても大事に使うようになり、カンボジアを訪れる外国人たちから「国民が他人を思いやることができるよい国だな~」といつか讃えられるようになると嬉しいですね。

Mashiro ニッジェイアンチュン(カンボジア語で「ところで・・・」) 偽札が多いです・・・以前は偽札といえば100ドル札と決まってましたが、最近は心理を逆手に取ってか、5ドル、10ドル、20ドルなどの少額紙幣の方に偽札が増える傾向にあります。精工に手間暇かけたものもあれば、単純にカラーコピーしただけのものまで、色んなのが出回ってますが、その中で思わず笑ってしまったのがこれです。10ドル札、ミスター・ハミルトンの肖像の首の部分、ご丁寧に「カンボジア語」で「金100,000」と書いてあります。ウチのスタッフが知らずにどこかで受け取ってしまい困っていたのを私が交換してあげて、隔離するとともに記念に(?)とってあるものです。悪いことなんですがこの遊び心に何か癒されてしまって、偽札握らされたのに逆に得した気分になったりしてますが、皆さんも海外ではおつり受け取る時など、よく確認して何か変だと感じたらその場で交換してもらうようにご注意ください。

私が見た中で最高(?)の偽札

【Mashiro】 少年期の夢はボクシングの世界チャンピオン、青年期の夢は漫画家で某少年漫画誌新人漫画賞の最終選考作品に名前を連ねていたが、就職と共に夢は自然消滅。その後サラリーマン、海外援助団体勤務を経て現在はカンボジアで会社経営しながらカンボジア初のストーリー漫画を制作・出版・販売、また、漫画家養成セミナーを開催してカンボジア人漫画家の育成を行いながら、昔の夢2つを同時に実現中。

後でもう一度お試しください
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