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【レポート】京アニ&Doイベント「私たちは、いま!!」。スタッフ座談会!


2015年、10月31日。京アニ&Doファン感謝イベント「私たちは、いま!!」のイベントステージにて、京都アニメーションとアニメーションDoの両スタジオ所属のスタッフによる座談会が開催された。

出演者は、北之原孝將さん(京都アニメーション所属・演出)、池田和美さん(アニメーションDo所属・キャラクターデザイン)、山村卓也さん(アニメーションDo所属・演出)、宮田佳奈さん(京都アニメーション所属・色彩設計)、渡邊美希子さん(京都アニメーション所属・美術監督)、中上竜太さん(京都アニメーション所属・撮影監督)。

現場の最前線で制作するスタッフとして、スタジオで働くこととは? アニメーターとして仕事することとは? 京アニとDoの違いとは? 大いに語ってくれました!!

着席している列席者の左から、北之原孝將さん、池田和美さん、山村卓也さん、宮田佳奈さん、渡邊美希子さん、中上竜太さん

――イベント開始にあたって、アニメーションDoの会社概要を教えてください 池田:京都アニメーションの大阪スタジオが母体となっています。京アニが京都から発信している会社ということで、Doは大阪から発信していこうという意気込みで日々制作に取り組んでいます。演出、原画、動画、仕上げ、マネージャーで、計30名前後で活動しています。

――ファンからの質問です。「アニメーターという職を分けるとどんな役割がありますか? もし現在担当している仕事以外を担当するとしたら、やってみたい仕事はありますか?」 北之原:まずアニメーターの役割を説明しますと。原画と動画が作画を行い、演出や作画監督がチェックを行います。 山村:演出の仕事は、まずシナリオをいただいて監督と打ち合わせを行い、絵コンテを描いて監督からOKをもらったら、原画、色指定、背景、撮影スタッフさん達と打ち合わせを行うという、監督とスタッフの懸け橋になる存在です。 宮田:色彩設計の仕事は作画されてくるもの対して配色を指定するのですが、監督、背景スタッフと打ち合わせをして、こんな色味の世界にしたいと、作品のカラーを決めていきます。 渡邊:背景の仕事は、文字通り背景画を描く仕事です。風景の構築がメインの仕事になります。 中上:撮影の仕事は、作画、背景といった各セクションで仕上がったものを組み合わせて映像を完成させるセクションになります。

――他セクションの仕事もチャレンジしてみたいですか? 北之原:他セクションに挑戦したいというより、一本でも多く新しい作品にチャレンジしてみたいと思っています。それが作画なのか演出なのか、という違いでしかないです。 池田:作画の仕事を担当しながら他セクションの仕事を見させていただくと、やり方が違うなと気付かされて、やはり今現在の仕事を続けていきたいなと思いますね。 山村:技術云々は別として、監督ができるとしたらホラーやSFといった、今までの京アニにない作品を作ってみたいです。 中上:今現在、撮影の仕事をしながら3DCGの仕事も始めたのですが、3DCG作品を作ってみたいと思っています。 宮田:他セクションの仕事を見させていただくたびに「なんだこれは」と驚きながら魅力を感じているので、機会があればぜひ作画や背景に挑戦してみたいです。そして、挑戦した仕事で得た技術を色彩設計の仕事に活かしたいです。 渡邊:作品が変われば仕事内容も変わって新しい何かが発見できるので、背景の仕事を極めていきたいと思っていますが、あえて申し上げるなら、仕上げ作業のセクションのデジタルペイントをやってみたいです。 背景の仕事は色のグラデーションで遠近感を出して世界を構築していくのですが、仕上げ作業ってベタ塗りの色パーツを組み合わせてキャラクターの味を作る作業なので、同じ色を扱う仕事として最終的に技術を合致させることができると思います。仕上げ作業に挑戦できたら、最終的にその技術を背景に持ち帰って活かしたいですね。

――少し質問が変わりますが、メインスタッフではなかったけど関わりたかった作品はありますか? 北之原:僕は「MUNTO(※2003年に製作された京アニのオリジナル作品)」が自分の中でとても大きな作品で、関わりたかったです。 中上:僕はバトルものなど勢いのある表現が得意なんですが、「響け!ユーフォニアム」や「たまこまーけっと」のような繊細な表現ができないなと思っていまして、逆に挑戦してみたいですね。 池田:過去の作品を見てみるとすでにオリジナリティーが確立されています。中でも西屋さんの描くキャラクターは、女性でも男性でも色気があってすごいですね。なんとかあの色気のある線を出せないかな、と日々考えています。 宮田:池田さんと同じように、過去の作品で確立されたメイン設定は確立されているなと感じますが、話数ごとに作品に関わるスタッフは「私はこれがやりたいんだ」という意気込みを投入してて、私も関わりたかったと思ってしまいます。中でも「CLANNAD(※Key原作のPCゲームをアニメ化した作品)」に参加したかったです。 渡邊:私は、あえて言うなら全部の作品に関わりたかったですが、どれも今のままのほうがいいと思っています。これまで背景スタッフとして関わってきた作品に全力疾走して「よし、終えた!」と燃え尽きているので、過去の作品を振り返ることはあまりないですね。

――ファンからの質問です。「将来、京アニで演出の仕事がしたいと思っているのですが、一緒に作品を作る仲間に求めるものは何ですか?」 山村:仕事を楽しむ人が一番だと思います。このカットで、このキャラクターにこんな演技や可愛い表情を描きたい! と。 北之原:私もほぼ同じ意見なのですが、映像全般に興味があって情熱が高い人と一緒に仕事したいなと思います。アニメーションはみんなで作る作業なので、共同作業が得意な人がいいですね。

――京アニに入社したきっかけと、京アニのいいところを教えてください 中上:入社したのは、運命(デスティニー)です!

入社前、別の会社でCGを作っていたんですが、京アニの名前を知りませんでした。そんな折に、いつもは参加しなかった会社の講義で京都アニメーションの存在を教えていただいて、入社試験を受けてみようと思い立ちました。その試験は、撮影の役職を希望していたんですが、手違いがあって動画の試験を受けてしましまして、肝心の撮影の試験も受けられたんですが、動画の試験会場で「間違いです」と言えず、勢いで受けてみたらカットの中割が描けてしまいました。 京アニとDoのいいところは、チャレンジできるところです。制作に必要なセクションが社内に揃ってて、すぐそばに背景担当の渡邊さんや色彩設計の宮田さんたちがいて、すぐ話を聞きに行けるという環境が、アニメ制作においてベストな環境だなと。

渡邊:私も入社したきっかけは、運命(デスティニー)ですね。

「らき☆すた」を制作していた時、背景の仕事に就きたいと考えていたんですが、どの会社を受けようか決まっていなくて。それで求人欄の一番上にあった京アニの入社試験を受けたのがきっかけです。勢いで受けると決めたんですが、その後、制作されている作品を調べて、勢いでなく「受けます!」と。 京アニとDoのいいところは、続けたいと思わせてくれる環境だと思います。人との距離が近いおかげで、集中力が途切れた時に周りを見渡せば色んな刺激をもらえています。ただひたすら机に向かっているだけの職場ではないのがいいですね。 宮田:私も、運命(デスティニー)です。

求人募集を探した時に、京都を拠点にアニメを作っている会社があると知って、入社試験を受けてみようと。 京アニとDoのいいところは、一人で黙々と作業しがちなアニメ制作の仕事のなかで、ふと顔を上げれば周りにスタッフの皆さんがいて、全員でひとつのものを作っているんだなと実感できるところです。

山村:僕も運命(デスティニー)です。

実は僕も京都アニメーションの存在を知らなかったんです。ネットで自宅から近いアニメ会社を探していたらアニメーションDoがあがったので入社試験を受けに行ったら、「アニメーションDoは京都アニメーションと同じ精神を持っています」と説明されて、京都アニメーションのことを調べました。 京アニとDoのいいところは、やはり顔を合わせて仕事できるところです。キャラデザの池田さんにも色々ご指導いただけて、日々感謝しています。

池田:やはり私も運命(デスティニー)で。

アニメーター専門学校へ通っていた時に求人募集で初めて社名を知ったのですが、一ヵ所に腰を落ち着けてじっくり仕事したかったという自分の会社選びの基準にかなって、入社試験を受けてみました。おかげさまで、長く腰を落ち着けて仕事させていただいてます。 京アニとDoのいいところは、仕事のチャンスに恵まれているところと、アニメ制作は共同作業なんだと実感できるところです。私は逆に一人でアニメを作るという状況が想像ができないですね。 北之原:私も「運命(デスティニー)です」と言わざるを得ない感じですね。

できるだけ人と近い距離で仕事したいと思っていたのと、当時少しでも早くアニメ制作の仕事に就きたくて他の現場に入っていたのですが、現場で京アニの評判を聞いて会社説明会を受けてみたら、理想とする職場環境に近かったんです。 京アニとDoのいいところは皆さんとほぼ同意見なんですが、今現在取り組んでいる作品を制作しながら、次回作をみんなで相談しながら作っていけることだと思います。

――セクション間で制作の過程が共有しにくくなりそうですが、京アニ&Doでは、監督対談でも口を揃えていたようにスタッフ同士の連携が取りやすい環境にあるようですね

――ファンからの質問です。「アニメを作り続ける理由は何ですか? やりがいや今後も続けようと思った出来事はありますか?」 中上:僕は”京都アニメーションだから”というのが一番の理由です。「自ら作る」、「作り続ける」、「チャレンジし続ける」という信念がぶれない環境の会社にいることが、作り続ける理由ですね。 北之原:劇場へ足を運んで、お客さんが面白い場面では笑い、感動する場面では泣いているところを見ると、ああ、ちゃんと伝わっているんだなと実感して、アニメを作っててよかったと思います。 池田:基本はアニメが好き、というのがあるんですが、テレビシリーズのローテーションをこなしていると予想外な出来栄えになることがあって。気合を入れたところが思ったほどの出来にならなかったり、さらっと力を流したところが予想以上の出来になったり、予想外の繰り返しで常に試行錯誤を続けているので、逆にアニメをやめるきっかけがないですね。

山村:やっぱり面白いものを作りたいからです。子供の時からアニメや映画が好きで、その時感じたワクワクドキドキした感情をお客さんにも感じてほしいという想いで作っています。やりがいは、スタッフみんなで作った作品が世に出てくれることです。僕の初仕事は「らき☆すた」で、こなたたちが通学で乗るバスがエンジンの振動で揺れるという動画でしたが、テレビ放映されたとき、本当に流れてる! と感動しました。 宮田:お客さんが喜んでいる反応を見たとき、すごく嬉しく思いますね。本日のようなイベントでお客様とお顔を合わせたり、京アニグッズを身に着けている方を見かけると、やっててよかった、と。映像を作ったあとも、ああしておけばよかった、今度はこうしよう、と次々と浮かんで、やはり作り続けてしまいますね。 渡邊:続けてこられたのは、お客様のおかげです。私が所属しているスタジオの2階に京アニショップがあるんですが、お昼を食べに外へ出たとき、グッズのクリアファイルコレクションを買われたお客さんが、「ひゃあ~!」と全身で喜んでくださっているのを見て、私も「ひゃあ~!!」となっています。しかも、そのクリアファイルコレクションが「中二病でも恋がしたい!」で、男性のお客さんだったもので、もう、可愛らしくて……!! 他にも、六花とおそろいの眼帯を付けてポーズを取った男子中学生を見かけたりして、萌えてます。そんなお客様の姿を一人一人見られている、というのがとても大きいです。

――内部情報によると、アニメーションDoでは社内で七夕を盛大にお祝いするそうですが 池田:社内に置いてある植木に折り紙を吊るします。この植木はクリスマスになるとツリーの代わりになります。 ――京都アニメーションでは、年中行事など行っていますか? 北之原:不定期ではありますが、社内運動会を行っています。Doもやりましたよね? 池田:やりましたね。本気の社内運動会を。 北之原:本気の、紙飛行機飛ばし大会とか……。 中上:他にも「ぴったり走」という、ストップウォッチでいかに五秒ぴったりで止められるかを競い合いました。

渡邊:他にも「万歩計対決」という、その場で足踏みをして何歩歩けたか競い合いました。 北之原:幅跳びもやりました。京アニは庭で。 宮田:Doは庭がないので室内でやりました。 北之原:いまちょうど予選が終わったところです。次の社内運動会では決勝が行われることでしょう。

――では最後にお集まりのファンの皆様に一言ずつメッセージをお願いします 中上:本日は一緒のお時間が過ごせて楽しかったです。お集まりいただきありがとうございました。 渡邊:冒頭ではとても緊張していたのですが、皆様のお顔を拝見して、愛されてるなぁと実感して落ち着くことができました。今日の体験のおかげで、また頑張れると思います。ありがとうございました。

宮田:すごく緊張していたのですが、皆様の温かい声援のおかげで落ち着くことができました。これからも京アニとDoをよろしくお願いします。ありがとうございました。 山村:こういうイベントの場に出るのは初めてだったのですが、物販や展示スペースに並んでるお客様を見て、京アニとDoは愛されてるんだなぁと感慨深いものを感じられました。本日はどうもありがとうございました。

池田:展示スペースでお客様の顔を堂々と見ることができず、ついたての隙間から拝見しておりましたが、皆様がものすごく真剣な顔でイベントに参加してくれているのを見て、今後仕事を続けていく活力になりました。本日はありがとうございました。 北之原:本日は多くのスタッフの中からステージに上がらせていただきました。これからも皆様にいい作品を作っていけるようスタッフ一同努力していきます。本日はありがとうございました。

■京都アニメーション HP

■アニメーション ドゥウ HP

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(取材・写真/hosaka)

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