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漫画家・巻来功士の心ぴく映画コラム-『グリーン・インフェルノ』


「功士的、心ぴく(心臓がぴくぴくするほど感動した?)映画コラム番外編第36回」は、 劇薬注意!阿鼻叫喚の地獄絵図、御存知イーライ・ロス監督の食人映画『グリーン・インフェルノ』です。 R18指定!万人には絶対にお薦めしません!しかし面白いから始末が悪い映画です。 1979年の「食人族」(日本でも大ヒット)をはじめとしたイタリアン・カニバル(人喰い)映画にインスパイアされて作られた本作品。

ストーリーは、自然保護グループの若者達が、アマゾンの開発に反対する為に現地に乗り込むが、逆に保護しようとする現地人から喰い殺されてゆくという皮肉に満ちたモノ。 もちろん目覆う残虐シーン満載ですが、そこは拷問映画「ホステル」をものにした鬼才イーライ・ロス監督、絶妙なブラックユーモアと風刺に満ちた視線が、この映画に明るさを醸し出しています。

現在の邦画監督が最も苦手とするアイロニー(皮肉)全開で、人間の多面性をしっかり描いてくれているので、ラストに生まれるある種の爽快さは心地よくもありました。 そして、血まみれの中で生じるギャグ!こんな悲惨な状況を笑いに転じるまさに悪鬼の所業がまた痛快。1979年「食人族」に代表されるカニバル映 画にはなかった部分がまさにそこです。昔の食人映画は笑いではなく、そこにエロスを注入してきました。だからハイティーンの観客には深いトラウマを植え付 ける結果となったのでしょう(ついついDVDを集めてしまう好事家も多数輩出しました。私も含めて(笑))。しかし、今回の映画は、そこは希薄で安心して (?!)見ていられます。映画狂のロス監督だけあって「悪魔のいけにえ」「ゾンビ」「死霊のはらわた」などの傑作ホラー映画を彷彿とさせる場面もあるの で、ホラーファンにも血しぶきに強い女性にもお薦め作になっています。

ちなみに主演女優ロレンツァ・イッツォはイーライ・ロス監督の奥さんとの事、息の合った演出、演技も楽しめます。

ロレンツァ・イッツォ

文明批判も含んだこの残虐で滑稽 な風刺残酷絵巻、血しぶきに強い人・ホラーファンのみにお薦めの心ぴく度86点映画です。それ以外の方はトラウマになるかもしれない劇薬映画。覚悟を決めてご覧ください。

【STORY】 女子大生ジャスティンは、女性に割礼を強いるヤハ族から女性たちを救うべく、過激な環境保護活動を行う学生グル―プとともに現地へと乗り込む。しかし、彼らの乗った飛行機は熱帯雨林に墜落。生き残ったジャスティンと学生たちはヤハ族に助けを求めたが、彼らは人間を食べる習慣、カニバリズムをもつ食人族だった…。捕らわれた彼らは一人、また一人と喰われていく―!!

【STAFF】

監督:イーライ・ロス 出演:ロレンツァ・イッツォ、アリエル・レビ、アーロン・バーンズ、カービー・ブリス・ブラントン、スカイ・フェレイラほか 2013/アメリカ・チリ/101分/シネスコ/デジタル/原題:The Green Inferno/R-18+

【巻来功士】 1958年長崎県佐世保市生まれ。1981年、「少年キング」誌で『ジローハリケーン』でデビュー。 「週刊少年ジャンプ」に発表の舞台を移し、代表作『ゴッドサイダー』を執筆。その後、青年誌を中心に『ザ・グリーンアイズ』『瑠璃子女王の華麗なる日々』『ゴッドサイダーサーガ神魔三国志』など数々の作品を連載。 クラウドファウンディング「FUNDIY」にて『ゴッドサイダー・ニューワールド(新世界)〜 ベルゼバブの憂鬱 〜』の制作 プロジェクトを成功させ現在鋭意執筆中。2016年2月6日、最新単行本・自伝『連載終了!』(イーストプレス刊)発売決定。 TWITTER FACEBOOK

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