top of page

漫画家・巻来功士の心ぴく映画コラムー『ミケランジェロ・プロジェクト』


功士的、心ぴく(心臓がぴくぴくするほど感動した?)映画コラム番外編第32回」 は、ジョージ・クルーニー監督・主演・共同脚本作、『ミケランジェロ・プロジェクト』です。実話の映画化です。

あらすじ、第2次世界大戦末期、ナチスドイツは敗走を続け、ヨーロッパ各国から略奪した美術品をドイツ国内に持ち去ろうとしていた。盗まれた美術品は500万点。それを取り戻すべく立ち上がったのが、米・欧の大学教授など兵士ではない者たちだった。もちろん、戦闘経験などなく、彼らはただ美術品を守りたいという情熱だけで、少しの訓練を受け最前線へ赴くのであった。彼らの運命やいかに!?この、第2次世界大戦秘話をハリウッドの寵児、ジョージ・クルーニーが映画化。結果は・・・。大傑作でした。

彼ら、文字通りの特殊部隊(戦闘のプロではなく美術のプロ)達が、美術愛に溢れた情熱で、危険な戦闘地域の真っただ中へ付き進むシーンは感動的です。この映画は、アクション映画でも、コメディー映画でもありません。純粋な人間ドラマです。その等身大の人間達が戦闘に巻きこまれます。あるシーンは滑稽に見え、あるシーンは感動的です。当然です。キャラクターではなく人間を描いているのですから。そんな見る人の感性に訴えかける素晴らしい脚本と構成になっています。何とか早く歴史的美術品を取り戻そうとするジョージ・クルーニー率いる特殊部隊、もちろん戦闘は得意ではないので極力避けていきますが、ヒトラーが敗戦を意識した時点で発令した「ネロ作戦(撮り戻される位なら全ての美術品を破壊してしまえ)」という狂った作戦を知った彼らは、味方の連合国軍側が、たかが美術品の為に大事な兵隊の命を危険にはサラセナイと言う態度によって、どうしても最前線に行かなくてはならなくなります、そのサスペンス描写がリアルなだけに怖く、ハラハラドキドキ感が超面白い!ジョージ・クルーニーの演出のうまさが光ります。

この映画はさらに深く、アメリカ人という者を考えさせてくれます。とても好戦的な残虐行為を行うかと思えば(原爆投下など)、純粋に理想を掲げそれを実行する(戦争の無い理想の未来を信じて、憲法9条などを作成する)の両極端な性格です。この美術品を守ろうとする彼ら特殊部隊、モニュメンツ・メン(原題)は明らかに後者です。そして理想の為に彼らは・・・。実話の重みに感動します。思わず涙ぐみました。素晴らしい。人間は理想の為には、大好きな物の為には、これほど素晴らしい馬鹿になれるのだと嬉しくなりました。観終わった後とても勇気を貰える映画です。全ての人に超お薦めです。特になにかを想像するクリエーターの方、文化というものを大切に思う方、いえ、やはり文化国家に住む全ての方々に観て欲しい、人間ドラマ、そして今まで見た事がない切り口の歴史ドラマの傑作です!功士的心ぴく度95点作品です。

【巻来功士】 1958年長崎県佐世保市生まれ。1981年、「少年キング」誌で『ジローハリケーン』でデビュー。 「週刊少年ジャンプ」に発表の舞台を移し、代表作『ゴッドサイダー』を執筆。その後、青年誌を中心に『ザ・グリーンアイズ』『瑠璃子女王の華麗なる日々』『ゴッドサイダーサーガ神魔三国志』など数々の作品を連載。 クラウドファウンディング「FUNDIY」にて『ゴッドサイダー・ニューワールド(新世界)〜 ベルゼバブの憂鬱 〜』の制作 プロジェクトを成功させ現在鋭意執筆中。 TWITTER FACEBOOK

後でもう一度お試しください
記事が公開されると、ここに表示されます。
bottom of page