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漫画家・巻来功士の心ぴく映画コラムー『わたしに会うまでの1600キロ』


ゴッドサイダー』『メタルK』などのヒット作の作者であり、映画好きとしても知られる漫画家・巻来功士が最新の映画を観賞し、心臓がピクピクするほど感動及び興奮した作品”心ぴく映画”を紹介するのが 『功士的、心ぴく(心臓がぴくぴくするほど感動した?)映画コラム』です。

今回巻来先生にご紹介いただくのはわたしに会うまでの1600キロ』-

ー今回はノンフィクション・ベストセラーの映画化作品『わたしに会うまでの1600キロ』です。ー

原題はズバリ「WILD」。私としては原題の方が、この映画のリアルで厳しい描写を表していると思いました。そしてこの映画は紛れもない傑作です。さすが傑作「ダラス・バイヤーズ・クラブ」の監督、ジャン=マルク・ヴァレ。メキシコからカナダ国境までのアメリカを縦断する自然道パシフィック・クレイスト・トレイル(1600キロ)を100日近くかけて歩く事に挑んだアメリカ人女性の実話を描いています。

なぜ、若い女性がこの過酷な挑戦を始めたのか?徐々に彼女の過去が明らかになっていく描写が、トレイルの美しく過酷な描写と交互に描かれます。しかし、全くテンポが崩れることなく、分かりにくくもなく、リアルで素晴らしい描写が、この名監督の手腕の見事さを表しています。コメディエンヌとしてデビューした主演のリース・ウイザースプーンが文字通り体当たりの演技を見せていて、まちがいなく彼女の代表作になる事でしょう。主人公の希望であり、またトラウマでもある母親役ローラ・ダーン(「ジュラシック・パーク」)の演技も素晴らしく、何度も涙腺が熱くなりました。もう一つのこの映画の大きな見所はトレッキングシーンのリアルさです。

トレッキングは自分と向き合うスポーツです。特にソロのトレッキングの最中、誰もが体験する自分の過去の体験や思いが頭の中を駆け巡るという状況を、リアルに表現していてその見事さに唸りました。女性一人のテント生活、水がなくなる過酷さ、異性へのトラウマと恐怖、素晴らしい描写が連続します。ラスト、ある人達とのささやかな出会いのシーン、涙が溢れてしまいました。もう一度観に行きたい傑作です。女性主人公の生きざまのリアルさ、体当たりの描写が注入されている為R15指定ですが、思春期真っただ中の色々な事に悩む中学生にも見せてあげても良いレベルではないかと思うのですが、如何でしょう?そんな、老若男女全てにお薦めの功士的心ぴく度90点以上の傑作です。心にモヤモヤがある人には特にお薦めかもしれません。皆さんトレッキングに目覚めたりして(^O^) ー巻来功士ー 【スタッフ】 監督:ジャン=マルク・ヴァレ、脚本:ニック・ホーンビィ、原作:シェリル・ストレイド、撮影:イヴ・ベランジェ、音楽:スーザン・ジェイコブス 【キャスト】 リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー © 2014 Twentieth Century Fox 2015年8月28日、TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー 【巻来功士】 1958年長崎県佐世保市生まれ。1981年、「少年キング」誌で『ジローハリケーン』でデビュー。 「週刊少年ジャンプ」に発表の舞台を移し、代表作ゴッドサイダーを執筆。その後、青年誌を中心にザ・グリーンアイズ』『瑠璃子女王の華麗なる日々』『ゴッドサイダーサーガ神魔三国志など数々の作品を連載。 クラウドファウンディング「FUNDIY」にて『ゴッドサイダー・ニューワールド(新世界)〜 ベルゼバブの憂鬱 〜』の制作 プロジェクトを成功させ現在鋭意執筆中。 TWITTER FACEBOOK

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