【レポート】11月23日まで会期延長!長谷川町子美術館開館30周年記念 「長谷川町子が描いたサザエさん」展
2015年11月に開館30周年を迎える長谷川町子美術館(世田谷区桜新町)で長谷川町子美術館開館30周年記念「長谷川町子が描いたサザエさん」展が開催されています。 8月末まで開催予定の企画展でしたが好評につき11月23日までの会期延長が決定!魅力と見どころについて伺ってきました 。
長谷川美術館(現:長谷川町子美術館)は1985年11月 「サザエさん」の作者、長谷川町子(1920-1992)が姉の毬子と蒐集した美術品を展示する目的で 住みなれた世田谷桜新町の自宅のそばに開館。毎年夏休みの時期は全館をあげて 「アニメサザエさん」展を開催し、家族連れやファンで賑わう人気スポットになっています。
開館30周年記念となる本展では、長谷川町子の代表作である「サザエさん」を ①漫画の世界 ②絵本の世界 ③アニメの世界に分けて展示しています。
1.漫画の世界 サザエさんと長谷川町子のあゆみ
漫画のコーナーでは、長谷川町子が漫画家としてデビューして「サザエさん」が誕生するまでと、約28年間にわたり新聞に連載された「サザエさん」をトピック別に紹介。写真、原画、スケッチブック、草稿ノート、といった貴重な資料とともに長谷川町子の生涯も一緒にたどってゆきます。
今年2015年は終戦70年の節目の年ですが、サザエさんが夕刊フクニチに初めて掲載されたのは終戦翌年の1946(昭和21)年、来年で生誕70年を迎えます。
戦後の暗い世の中に明るい話題を、と町子が描いたサザエさんはとびきり明るくておてんば。 第一話はそんなサザエさんの性格がよく表れています。初期の漫画には配給、闇市、引き揚げ等が描かれていて 身近な生活を描き続けたサザエさんのあゆみは昭和史を知るうえでも貴重な資料といえそうです。
町子が13歳のときに父親が亡くなり、一家の生活は一変。
「のらくろ」の田河水泡に弟子入りするときに持参したスケッチブック
「サザエさん」連載第1回の貴重な原画も展示。姉の毬子が管理していたのでほとんどの原画が残っているそう。サザエさんの唯一の花嫁姿が描かれた「サザエさん結婚」の原画(単行本未収録)も初公開、お見逃しなく!
「サザエさん」第1話の原画: 初出 【夕刊フクニチ】1946(昭和21)年4月22日
「サザエさん結婚」 1947(昭和22)年5月8日 (夕刊フクニチ)
漫画コーナーの見どころのひとつ: 姉妹社版単行本「サザエさん」68巻のカバー原画全点を公開。
姉妹社版 「サザエさん」1巻表紙
自身の転居や体調不良もあり、休載、連載を繰り返しながら28年間続いた「サザエさん」は1974(昭和49)年に連載終了、その後長谷川町子はずっと描きたかった絵本の仕事に取りかかります。
2.長谷川町子の絵本の世界
15歳で漫画家デビューした長谷川町子ですが 子どもたちのために絵本をつくりたいという夢も持っていたのです。 戦後は紙の質も悪く印刷技術も進んでいなかったので 思うような絵本はなかなか作れませんでした。
ー初期の作品から
ドウブツムラノイモンタイ
講談社の絵本 漫画と頓智合戦 1938(昭和13)年10月10日
町子18歳の作品。慰問がテーマで戦争の影響が色濃く見られる
「ドウブツノ防空演習」
【講談社の絵本 漫画と銃後童話集】1940(昭和15)年11月5日
動物たちが空襲にそなえて訓練を行う様子をユーモラスに描く。
絵本「わかめちゃん おとぎのくに号」
姉妹社 発行年不明
サザエさんの連載が終了して時間ができてから 町子は「サザエさんえほん」 の作成に没頭していきます。
本展では累計77万部発行した「サザエさんえほん」シリーズ9巻のうち原画が現存する1巻から7巻までを初公開しています。
サザエさんえほん 発行:1976~78(昭和51~53)年・姉妹社
サザエさんえほん②「サザエさんとどうぶつえん」 発行/1976(昭和51)年10月13日
文章も長谷川町子が手がけている
サザエさんえほん④「わかめちゃんとりす」より 発行/1976(昭和51)年12月14日
サザエさんえほん④「わかめちゃんとりす」より 発行/1976(昭和51)年12月14日
3. アニメの世界: おなじみのアニメ「サザエさん」コーナーでは 写真撮影が可能。大人も子どもも楽しめる空間になっています。
4.ミュージアムショップ: 売店ではサザエさんグッズを販売。書籍、ふろしき、ぬりえ、絵葉書、おかしなど美術館限定グッズも豊富。大人買い必至の可愛さ。
サザエさんおりがみレター
新商品サザエさんえほんポストカード①~②(各5枚入り)
【編集部感想】
個人的に何度か訪問している長谷川町子美術館ですが30周年記念の本展はいつもと違うサザエさんの魅力が満載、取材中も何度も「かわいい!」と呟いてしまいました。
帰り際にふと見ると 絵本の一コマのような読書スペースで 子供たちが夢中で「サザエさんえほん」を読んでいるのが印象的でした。(イラスト by snowpandas)
ー見どころ
◆ 長谷川町子の生涯、「サザエさん」の誕生から最終話までを原画、写真、スケッチブック、、といった貴重な資料で紹介!
◆ 姉妹社版「サザエさん」の表紙原画1巻から68巻を全点展示。
◆ 「サザエさんえほん」の原画 現存する1巻から7巻までの原画のうち52枚を初公開!白黒4コマ漫画のサザエさんとはまったく違ったカラフルで可愛い魅力全開です。
◆ みんなが大好きなアニメ「サザエさん」のコーナーは写真撮影OK。夏休み中の土日はサザエさんに会えるかも?
【概要】
展覧会:長谷川町子美術館開館30周年記念「長谷川町子が描いたサザエさん」
会場: 長谷川町子美術館 世田谷区桜新町1-30-6
会期: 2015年7月18日(土)~11月23日(月・祝) <会期延長!>
※月曜日休館(ただし9/21(月)は開館、9/24(木)は休館、10/12(月)は開館、10/13(火)は休館)
※途中休館あり。(8月31日(月)~9月11日(金))
時間: 午前10時~午後5時30分(入館締切 午後5時)
料金: 一般600円・大高生500円・中小生400円
団体20名様以上、65歳以上、障がい者手帳をお持ちのかたとその介添えの方 各100円割引
交通: 東急田園都市線・桜新町駅(西口)下車、徒歩7分
主催: 長谷川町子美術館 / フジテレビジョン
協賛: JAバンク
協力: エイケン
お問合せ: 長谷川町子美術館 (電話:03-3701-8766)
(執筆・撮影・編集部イラスト snowpandas) ©長谷川町子美術館
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影いたしました。