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会田誠氏の企画展「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」クレームで作品撤去か?

東京都現代美術館(東京都江東区)で開催中の会田誠さんの企画展「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展で、作品の内容に対してクレームが入り、美術館側から作品への撤去要請が出されていることが明らかになった。

クレームが入ったというのは「檄」という、墨文字がしたためられた6メートルの布の作品と、「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」というビデオ作品の二点。

この作品に対して今回の展示を行っている東京都現代美術館を代表する形で、チーフキュレーターの長谷川祐子氏と企画係長の加藤弘子氏から、出品作のうち2作品に対する撤去要請が申し入れられたとの事。

会田誠さんはこの騒動について、自身のSNSを使って意見を述べた。美術界で大きな影響力を持つ会田氏だけに様々な方面で波紋を呼んでいる。

今回撤去要請が入ったという作品「檄」。"文部科学省に物申す"と大きく記されている。

ー作品撤去の要請があった事に対して会田誠氏はTumblr上で自身の意見を発表

"まずこの作品は、見た目の印象に反して、いわゆる「政治的な作品」ではありません。現在の政権や特定の政党を、利する/害するような文言は一言も書いてありません。"

"またこの「檄」は、そのような「理想」が内包する矛盾も意図的に示しています。誰もがこの現代美術館のような、天井高6メートルの空間に垂れ幕を掲げられる機会が与えられるわけではありませんから。みんながそれをしたらこの世は垂れ幕だらけになってしまいますが、その笑ってしまうような光景を幻視したうえで、社会とは何かを考えるのも良いことだと思います。" 出典http://m-aida.tumblr.com/

ー実際に東京都現代美術館に寄せられたクレームは実際は「友の会会員が一名」と

からの一件だったという。

Twitter上では今回の騒動に対して茂木健一郎さん、津田大介さん、高橋源一郎さん、アーバンギャルド松永天馬さん、松江哲明さんなど著名人から、「表現者に対して、表現の内容を「改変」しろなんて、アートが好きな人は絶対に言ってはいけないこと。」(茂木健一郎さん)、「東京都や公立の美術館が、一家族やその子供の表現を否定していいのか。」(椹木野衣さん)などコメントが寄せられている。

ー会田さんの作品は2012年六本木ヒルズ森タワーの森美術館で開催された個展『会田誠展 天才でごめんなさい」』でも作品へのクレーム問題、表現の自由をめぐって話題になっていた。

美術館内の「18禁部屋」ブースに展示されていた四肢を切断された少女を描いた「犬」シリーズ、「食用人造少女・美味ちゃん」、等身大のゴキブリの像と女性が性行為をしている様子の写真が児童ポルノや性的虐待として性暴力に反対する市民団体から批判を受けたのだ。

"このようなものを貴美術館は堂々と公開しており、これは少女に対する性的搾取に積極的に関与するものです。"

出典 森美術館への団体抗議文 | :ポルノ被害と性暴力を考える会

ー森美術館館長・南條史生さんの展示会へのクレームに対するコメント。

"美術館は、美術を通して表現される様々な考え方の発表の場であり、それによって対話と議論の契機を生み出します。本展に関しても、多くの異なった意見を持つ方々が議論を交わすことが重要であると思われます。また日本の良さは、そのような個々人の多様な意見を自由に表現・発表できる社会となっていることではないでしょうか。"

出典

MORI ART MUSEUM

ー展示への意見に対して会田誠さんは下記の様にコメントした。

"僕の作品群の中には、性的なテーマとは限りませんが、人によってショッキングと受け取られる表現があると思います。そういう場合、僕は必ず、芸術における屈折表現――僕はそれをアイロニーと呼んでいますが――として使用しています(あるいは、僕個人はこの言葉をあまり使いませんが、『批評的に使用しています』と言い直してもいいのかもしれません)。けして単線的に、性的嗜好の満足、あるいは悪意の発露などを目的とすることはありません。また「万人に愛されること」「人を不快な気分にさせないこと」という制限を芸術に課してはいけないとも考えています。発表する場所や方法は法律に則ります。"

出典

MORI ART MUSEUM

作品の撤去騒動はメディアやネットでの反応も込みでの「作品」ではという意見も。『会田誠展 天才でごめんなさい」』開催時のインタビューにおいて、自身を筆と絵の具でキャンパスに向かう純度の高い画家ではなく、コンセプトを重視した作品制作を行うアーティストであること、またメディアもその一部として捉えているという事を会田さんが公言していることを鑑みると、言い得て妙という気もしてくる。今回話題になった作品の内容がどういったものなのか実際に確かめてみたい。

後でもう一度お試しください
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