カジヒデキ登壇ー映画『チャップリンからの贈りもの』前々夜祭イベントレポ―ト
2010年カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した『神々の男たち』グザヴィエ・ボーヴォア監督の最新作、『チャップリンからの贈りもの』が、7月18日(土)より 全国順次公開。 “チャップリン遺体誘拐事件”をドラマ化した本作には、チャップリンの遺族が家族役として出演し邸宅や墓地もロケ地提供。ミシェル・ルグランの音楽が彩る、カンヌグランプリ受賞監督の最新作だ。
16日前々夜祭イベント、「チャップリン不朽の名作デジタルリマスター版のプレミアム上映会」がYEBISU GARDEN CINEMAにて開催された。
サイレント映画の名作「移民」「冒険」「霊泉」の日本初上映の前に、チャップリンの映画と、ミシェル・ルグランの音楽を愛する、日本を代表するネオ・アコースティック・シンガーソングライター、カジヒデキさんが登壇し、小柳帝さんとともにトークイベントを行った。
小柳:チャップリンが亡くなった翌年に、遺体を誘拐して身代金を要求するというとんでもない事件があったわけなんですが、チャップリンが亡くなったときはショックでしたし、この事件が起こって、TVなどでも報道されて、とんでもないことが起こったなと思いました。ただ、まだ子どもだったからか、その顛末は覚えていなかったんですよ。映画をみて、こんな顛末があったんだと感じました。
カジ:僕自身はチャップリンはものすごいのめり込んでいたわけではないのですが、もちろん子どもの頃からテレビなどで観ていて、大メジャーな存在でもあったし、10代後半に古い映画とかを意識して観るようになって、その中でチャップリンの映画も観たりもしました。
小柳:チャップリンは常に底辺のところから観ているというのがいつもあるから、どこか力をかざしてくるような人にはNOというところには親近感が湧きますよね。
カジ:「モダンタイムス」をみて感じたのはとてもパンク的な、反骨精神に溢れていて、実際にロンドン出身じゃないですか。ロンドン・パンクみたいにチャップリンを観たりする機会にもなりました。
カジ:また、ミシェル・ルグランが音楽を担当していて、またその音楽が全盛期のルグランというか、60年代を彷彿とさせるような曲も沢山ありました。
小柳:ルグランの音楽が好きな人だったら、気持ちが高揚するのではないかと思います。
カジ:『ロシュフォールの恋人』『シェルブールの雨傘』や、ルグランジャズとか、映画音楽以外にもいろいろなレコードも出しているので、当時探しに行ったりしましたね。ルグランはマスト、みたいな感じがすごくあったので。僕は『5時から7時までのクレオ』の若きルグランのはじけ方が好きで、自分も影響を受けているなと思いますね。
カジ:本当に暖かい映画というか、こういった事件を扱ってはいますが、最後は絶対に涙するような、男の友情があったり、家族愛だったりとか。最後にさわやかな気持ちになれる。フランス映画だけあってエスプリが効いているというか、シャイな心もすごい効いているので、そこが良いなと思いました。沢山の方に観てもらえれば良いなと思います。
【ストーリー】
スイス・レマン湖畔。お調子者のエディの親友オスマンは、娘がまだ小さく妻が入院中。医療費が払えなくなるほど貧しい生活を送っていた。そんな時テレビから“喜劇王チャップリン死亡”という衝撃のニュースが。エディは埋葬されたチャップリンの柩を盗み身代金で生活を立て直そうと、弱気のオスマンを巻き込み決死の犯行へ。ところが詰めの甘い計画は次々にボロを出し、ツキのなさにも見舞われて崩壊寸前。あきらめかけた時、追詰められたオスマンが最後の賭けに出た。人生どん底の二人に救いの手は差し伸べられるのか─。
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ『神々と男たち』※カンヌ映画祭グランプリ受賞
音楽:ミシェル・ルグラン『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』
出演:ブノワ・ボールヴールド『ココ、アヴァン、シャネル』、ロシュディ・ゼム『あるいは裏切りという名の犬』 2015年7月18日(土)YEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー 公式サイト http://chaplin.gaga.ne.jp/